舌の先がハート形に見える?「ハート舌」とお口の発達について

知って得する豆知識

当院では、幼稚園などへ歯科検診に伺う機会があります。
その際に、よく見られるお悩みや症状をご紹介します。 

今回は、「舌の先が割れていて、ハート形に見えるのが気になる」というご相談があった3歳のお子様の例です。

舌がハート形に見える「ハート舌」とは?

今回の検診では、舌の先が中央でくぼみ、ハートのような形に見える「ハート舌」が確認されました。

保護者の方によると、0~1歳頃にも歯科医院を受診し、2度ほど診察を受けたうえで「心配しなくてよい」と説明を受けていたとのことです。

現時点では、発音や食事などの日常生活に大きな支障はみられませんでした。一方で、検診時にはよだれがやや多く、鼻の汚れも確認されました。

ハート舌がみられる場合、舌の裏側にある「舌小帯」という筋の付着位置や状態が関係していることがあります。ただし、舌の形だけで問題の有無を判断するのではなく、舌がどの程度動かせるのか、お口の機能に影響があるのかを確認することが重要です。

舌の動きと「低位舌」の関係

舌の動きが制限されると、舌を上あごに持ち上げにくくなり、舌が本来あるべき位置より低い状態になる「低位舌」につながる場合があります。

舌の位置は、単に発音や食事だけに関係するものではありません。口呼吸やお口がぽかんと開いた状態、歯並びや噛み合わせ、顎の成長など、お口全体の発達とも関係しています。

今回みられたよだれの多さや鼻の汚れについても、口呼吸などのお口の機能と関連している可能性があります。

ご家庭でも、普段からお子様のお口が開いていないか、鼻ではなく口で呼吸していないか、舌が下がった状態になっていないかなどを確認してみましょう。

ただし、これらの症状があるからといって、必ずしも舌小帯が原因とは限りません。気になる場合には、小児の口腔機能に詳しい歯科医師や専門医に相談し、総合的に評価してもらうことが大切です。

成長期だからこそ、お口の機能をチェック

3歳頃は、顎や口腔機能が発達していく大切な時期です。そのため、舌小帯の状態だけを見るのではなく、舌を正しい位置まで動かせるか、唇を閉じられるか、正しく飲み込めているかなど、お口全体の機能を確認することが大切です。

必要に応じて、MFT(口腔筋機能療法)と呼ばれるトレーニングを取り入れることもあります。MFTは、舌や唇、頬などのお口周りの筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングです。舌の位置や飲み込み方などを確認しながら、お口の機能を整えていくことを目指します。

最近では、SNSなどでもMFTについて紹介されていますが、お子様によって必要なトレーニングは異なります。自己判断で始めるのではなく、歯科医院などで状態を確認したうえで取り組むと安心です。

また、MFTを行っても舌を十分に上あごへ持ち上げられないなど、舌の動きに制限がある場合には、舌小帯への処置を検討するケースもあります。処置が必要かどうかは、舌小帯の状態だけでなく、舌の機能や発音、食事などへの影響を含めて専門的に判断する必要があります。

小さな変化も定期検診で確認しましょう

お子様のお口は、成長に伴って少しずつ変化していきます。舌の形や動きが気になったときも、「以前は問題ないと言われたから大丈夫」と判断するのではなく、現在のお口の状態を確認することが大切です。

特に、顎が成長する時期には、歯並びや噛み合わせだけでなく、舌の位置、呼吸、飲み込みなどの口腔機能にも目を向けてみましょう。

気になる症状がある場合には、小児歯科などで相談しながら、必要に応じてMFTや矯正などの選択肢を検討していくことができます。

早い段階からお子様のお口の状態を知り、定期検診を通して成長を見守ることが、健やかな口腔機能の発達につながります。